冷蒸とは俗称で、正しくは「冷飣」「冷糽」と表記する。「麦蚕」「冷嫩」と呼ばれることもある。冷蒸は江蘇省南通市などの地域で盛んに食べられている旬の点心だ。飽満に身入りし、日増しに成熟する麦穂から芒と殻を除去したあと、とろ火にかけた鉄鍋で炒り、石臼ですりつぶして作る、短冊状の食べ物だ。立夏の季節、晩春から初夏にかけて売り出される。冷飣の「飣」という字は、現地の方言である南通弁(通西弁)や金沙弁、通東弁などでは「争」(「蒸す」と同音)と発音される。「飣」は「丁」の字から音をとっている。「丁」の字はオノマトペとして使用するときは「争」と読むことができる。たとえば『詩経・小雅・伐木』のなかの「伐木丁丁」(木を伐ること丁丁たり)の「丁」は「争」と読む。