金陵の春の趣:城壁に綻ぶ花々からの誘い

金陵の650年あまりの歴史ある城壁を、暖かな風がそっと通り過ぎると、花の香りがまだらに色あせた石段に沿ってゆっくりと染み渡っていく。城壁を登るようにして咲き乱れる花の姿を見上げ、燕の囁くような鳴き声が雲の間に響くのを聞こう。せっかくのよく晴れた、優しい風が頬を撫でる日には、南京の城壁と咲き乱れる春の花たちとのロマンチックなデートに出かけてみよう。

氷のように清らかで、玉のように美しい。そんな花が見たいなら、間違いなく清凉山公園のハクモクレンがベストだ。真っ白な花を赤壁と黒瓦が引き立てる。軒先に静かに佇むその姿は、まるで俗世に迷い込んだ仙女のようだ。かすかな風が吹くと、ときおり花びらがひらりひらりと落ちる。いくぶん禅の趣を帯びたそのあか抜けた上品さは、中国美学の含蓄を生き生きと余すところなく表現している。数えきれないほどの観光客が、この独特の春の風景のためにわざわざ訪れ、モクレンと古城壁が織り成す一瞬をシャッターに捉えている。

漢西門の城壁の下に移動すると、やはり咲き誇るモクレンとあたかも事前に約束していたかのように出会うことができる。玉のようなそのつぼみの一つひとつは、まるでランプのような形をしていて、深緑の明城壁を背景にして鮮やかで調和のとれたコントラストを成している。漂う花の香りのなか、歳月の洗礼を受けた城壁のレンガの一つひとつが万物の蘇生について語っている。その瞬間、古めかしさとみずみずしさがみごとに交わり一体となる。

3月の中旬・下旬になると、中華門の梅が満開を迎える。梅の木の一本一本がまだらに色あせた城壁にもたれ、暖かな陽光のもと、思うがままに花開いている。交差するまばらな枝の間に鮮やかな赤や純白の花を咲かせた梅は、あたかも雲の間から城郭へと射し込む光のようだ。城壁に登って遠くを眺めると見えるのは波打ち渦巻く梅の雲だけで、あたりにすっかり染み渡った柔らかな春の気配古城壁にロマンのベールをそっとまとわせている。