初秋の鎮江、暑さがまだ残りつつも、すでに詩情の溢れる薄いヴェールをまとっている。
金山湖、ハスの風情
秋雨が初めて金山湖に降りそそぐ頃、ハスに打ちつける雨をひとりで静かに眺めるのが最も趣深いである。夏に盛りを極めたハスの池はいま、別の風情を見られる。ハスの葉はさまざまな姿で水面に身を傾け、縁が秋色に染まり盃のように丸まるもの、裂けても倒れず雨に向かって立つもの、そしてついには水面にうなだれ天からのしずくを受けとめるものがある。
西津渡、夕陽
渡し場の古い石垣は今も江に面して佇み、石の隙間からは逞しい草が芽吹く。救生会遺跡の回廊に立てば、長江がに東へ流れ、貨物船が汽笛を鳴らしながらモーダンの桟橋を行き交う。振り返れば、昭関石塔が夕陽に包まれ、過街石塔のアーチの下には、荷物を担う行商や科挙を目指す書生が今も行き交うかのような幻が漂う。
蟹,六月黄
鎮江の蟹は「六月黄」から始まる。盛夏の余韻が残る頃、江辺には蟹の香りが漂いはじめる。この「六月黄」はまだ成熟していない上海ガニで、殻は柔らかく黄身がたっぷりである。秋の蟹ほどの肥えた身こそないが、格別に繊細な味わいがある。
老舗の店々ではこの時期、「六月黄」の札が掲げられる。「宴春酒楼」は伝統の調理法を守り、「周家二小姐」は斬新な味を提案、街角の小さな食堂も秘伝のレシピを誇る。客たちは熱さもかえりみず、殻を外して黄身を味わい、ワンタンや鍋蓋麺を添えて、卓上には蟹殻の小山が築かれていく。
金木犀、ドリンク
初秋の鎮江は、金木犀の香りにそっと染められていく。街角や路地にふわりと甘い香りが漂いはじめると、金木犀の花が咲いた合図になる。夏の花のような強さはなく、清らかで奥ゆかしい香りは、街から街へと抜け、窓辺をくぐり、衣に移り、やがて茶の湯にまで溶け込む――鎮江の人々は、この一瞬の花の香りを杯の中に封じ込める術をよく知っている。
伝統派は、金木犀と新芽の茶葉を幾重にも重ね、茶葉が花の香りをたっぷり吸うまで熟成させる窨製法を守る。新派の茶飲は、摘みたてをそのまま冷たい水で抽出するコールドブリューを提案し、ガラスのポットで金木犀と茶が共に舞う様を楽しませる。





























